マンション管理組合必見!個人賠償責任保険の基礎知識を紹介します

マンション管理組合の新任役員になったものの「マンション総合保険(※)」や「個人賠償責任保険」という言葉に馴染みがなく、不安を感じていませんか?
実は、これらの保険は住民間のトラブル防止や予期せぬ事故による経済的負担の軽減に重要な役割を果たすものです。
そこで本記事では、マンション総合保険における個人賠償責任保険の仕組みや、管理組合がこの保険を契約することのメリット、適切な保険金額の設定方法などをわかりやすく解説します。
保険の重要性を理解し、正しい知識を身につけることで、より良いマンション管理を行いたい方はぜひ最後までご一読ください。
※本ページにおける「マンション総合保険」とは、「管理組合が加入するマンション共用部分用火災保険」のことをいいます。
1.マンション総合保険の特約で契約する個人賠償責任保険とは?
マンション総合保険の特約として一般的に契約される個人賠償責任保険は、マンションにかかわる人々を守る大切な保険です。
この保険は、マンション管理組合が契約者となり、区分所有者や住民を被保険者として包括的に補償します。
具体的に、補償の対象となる人々は、主に以下のとおりです(詳しくは、損害保険の代理店に確認ください)。
- マンション戸室を所有し、実際に住んでいる人
- 賃貸でマンションに住んでいる人
- マンション戸室を所有しているが、住んでいないオーナー※
※日常生活に起因する賠償事故に関しては、補償の対象となりません。
補償の対象となる事故としては、例えば、水漏れ事故や日常生活での不注意に起因する偶然な事故等があり、住民が責任を負う可能性のあるさまざまな賠償リスクに対応できます。
このように幅広い補償範囲により、マンションにかかわる人々が補償されます。
マンション総合保険の特約として個人賠償責任保険を契約することで、管理組合は効率的に住民の賠償事故を補償することができます。
個々の住民が別々に保険に加入する手間を省き、一括して管理できるのが大きな利点です。
2.マンション管理組合が個人賠償責任保険を契約する2つのメリット
マンション管理組合が個人賠償責任保険を契約することには、2つのメリットがあります。
- 住民同士のトラブルを減らす
- 金銭的な負担を減らす
それでは、このメリットについて詳しく見ていきましょう。
メリット1.住民同士のトラブルを減らす
マンション管理組合が個人賠償責任保険を契約すると、住民同士のトラブルを減らせるメリットがあります。
住民が管理する住宅・設備において水漏れ事故が起きた場合でも、個人賠償責任保険が適用されれば、損害賠償の問題を素早く解決できるため、トラブルが長引いたり拡大したりすることを防げるためです。
マンションは、若い夫婦や一人暮らしの高齢者、外国人、オーナーなど、さまざまな価値観や立場の人が同じ建物内で生活しています。
このような環境では、小さな出来事がきっかけで大きな問題に発展することも珍しくありません。
問題が早期に解決されれば、その後も同じマンションで快適に暮らし続けられる環境を保つことができます。
つまり、個人賠償責任保険は、損害賠償の問題について金銭的に補償することを通じて住民同士のトラブルに発展することを未然に防ぎ、マンションの良好な人間関係を守る役割を果たすことが期待できます。
メリット2.金銭的な負担を減らす
マンション住民の金銭的な負担を減らせることもメリットの1つです。
マンション生活では、思いがけない事故や損害が起こり、住民等が突然金銭的リスクを負う可能性が常にあります。
マンション管理組合が個人賠償責任保険を契約し、包括的に住民等を補償の対象とすることで、この金銭的リスクを軽減できるのです。
例えば、水漏れ・物の破損事故などの結果、加害者として賠償請求を受けると、突然の出費が個人の家計を大きく圧迫します。
一方、被害者の立場になった場合も、相手に支払い能力がないと十分な補償を受けられないかもしれません。
個人賠償責任保険を契約しておくことにより、加害者になった場合は保険から賠償金が支払われ、被害者になった場合も確実に補償を受けられるのです。
そのため、個人賠償責任保険は、住民全員が安心して暮らせる環境を作るための効果的な手段となるのです。
3.マンション総合保険における個人賠償責任保険の保険金額はいくらにするべき?
マンション総合保険の個人賠償責任保険では、契約者が保険金額を自由に設定できます。
例えば、一般的な保険金額は以下のようなパターンです。
- 1,000万円
- 3,000万円
- 5,000万円
- 1億円
なお、実際の賠償事例を考慮して保険金額を決めることも大切です。
例えば、小学生が乗った自転車が歩行中の女性と衝突した結果、後遺症が残る重傷を負わせたために、賠償金額が9,500万円にもなった事例もあります。
このような高額な賠償事例を踏まえると、保険金額を1億円に設定することも検討の余地があります。
1,000万円と1億円の保険金額では、保険料にもそれほど大きな差がない場合があるため、それらの点を総合的に考慮してみてはどうでしょうか。
個人賠償責任保険に自己負担額(免責金額)は設定したほうがいい?
個人賠償責任保険の自己負担額(免責金額)とは、事故発生時に被保険者が自己負担する金額のことです。
結論から言えば、個人賠償責任保険の自己負担額(免責金額)は0円に設定することをおすすめします。
自己負担額(免責金額)を設定しても、保険料はそれほど安くならないことが多いようです。
つまり、わずかな保険料の節約のために、事故発生時の自己負担リスクを負うことは考えものです。
損害保険の代理店に相談して、自己負担額(免責金額)を設定した場合と0円にした場合の保険料を比較計算してもらうとよいでしょう。
実際の金額の差を確認したうえで、最適な条件を選択することができます。
4.注意!マンション総合保険の個人賠償責任保険を外すのは危険です
マンション総合保険における個人賠償責任保険の役割は、隣り合わせで居住する住民同士のトラブル防止と住民の財産を守ることです。
この特約を外すことは、管理組合や住民にとって大きなリスクを伴う可能性があります。
個人賠償責任保険を外すことが危険である主要な理由は以下のとおりです。
- 水漏れ事故を起こした際に賠償金の支払義務が生じるリスクがある
- 住民が個々に個人賠償責任保険に加入していない場合がある
それでは、これらの理由を詳しく見ていきましょう。
理由1.水漏れ事故の際に賠償金の支払義務が生じるリスクがある
1つ目は、水漏れ事故の際に、被害者である近隣の住民への賠償金を支払わなければならなくなるリスクがあるためです。
水漏れの原因が共用部分の給排水管等にある場合は、マンション総合保険にセットされる施設賠償責任保険が適用されます。一方、住民が居住する専有部分が水漏れの原因の場合は、当該住戸の所有者が損害賠償責任を問われるため、個人賠償責任保険が適用されます。
マンションの水漏れ事故は、原因を特定するのは難しく、専門家による調査が必要になることもあります。調査の結果、専有部分に原因があるとされたときに、個人賠償責任保険に入っていないと、水漏れ事故を起こした住民自身が損害を補償しなければなりません。
そのため、管理組合が個人賠償責任保険に加入していれば、住民が水漏れ事故等で損害賠償金を負担するリスクを減らすことができるのです。
理由2.住民が個人賠償責任保険に加入していない場合がある
2つ目は、住民が個々に個人賠償責任保険に加入していない場合があるからです。
個人賠償責任保険への加入率は年々増えていますが、すべての住民が加入しているわけではありません。
特に、規模の大きなマンションでは、個々の住民の保険への加入状況を確認することも困難です。
管理組合が個人賠償責任保険を契約しておけば、住民の賠償事故を保険で確実にカバーできるようになります。
個々の住民の保険への加入状況に関わらず、マンション全体で統一した補償を用意しておかないと、住民にとって思わぬ出費が発生したり、住民間のトラブルが拡大したりすることがあります。
したがってマンション総合保険の個人賠償責任保険を外してしまうと円滑なマンション管理の支障となる場合があるのでご注意ください。
5.マンション総合保険の個人賠償責任保険はかけておくとトラブルが減らせる!
マンション総合保険における個人賠償責任保険は、管理組合にとって非常に大切な特約です。
この保険に加入することで、住民間のトラブルを軽減し、予期せぬ事態による金銭的な負担を減らすことができます。
マンション総合保険の個人賠償責任保険は、管理組合と住民の両方を守る重要な役割を果たします。
この特約を適切に活用することで、安全で快適なマンション生活を維持し、将来的なトラブルや経済的リスクを減らしましょう。
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