マンションの老朽化によって生じる5つの問題|対策方法まで解説

マンションの老朽化問題に、頭を悩ませていませんか?
築年数が経過して、そろそろ大規模修繕が必要だけれど「建物の修繕費用が足りない...」とお悩みの方は少なくありません。
マンションの老朽化は単なる建物の問題だけでなく、住民の生活や資産価値にも大きな影響を及ぼす深刻な社会問題です。
建物の安全性の低下や修繕積立金の急激な値上げ、さらにはマンションに入居する方の減少やマンションの資産価値の下落など、老朽化がもたらす問題は多岐にわたります。
適切な対策を講じることで、快適で安全な住環境を維持することができるでしょう。
本記事では、マンションの老朽化によって生じる問題と、対策について詳しく解説します。
マンションの老朽化への対策もわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。
1.マンションの老朽化問題は今や社会問題になっている
マンションの老朽化は、日本社会全体が直面している重大な課題となっています。
国土交通省の「築40年以上のマンションストック数の推移」によると、2023年度末時点で築40年以上のマンションは136.9万戸存在します。
そして、20年後の2043年度末には、463.8万戸と約3倍になる見込みです。
これからも急増する老朽化マンションの問題は、建物の劣化だけでなく、以下のような多岐にわたる問題を引き起こしています。
- 安全性の低下
- 資産価値の低下
- 地域社会への悪影響
- 管理組合の運営困難
例えば、老朽化の結果として生じる外壁の剥落や鉄筋の腐食といったマンション構造上の問題は、住民や通行人の安全を脅かす可能性があります。
また、適切な修繕が行われないまま放置されたマンションは、周辺の住環境にも悪影響を及ぼし、ひいては地域社会全体の評価の低下につながるおそれがあるでしょう。
さらに、高齢化社会の進展と相まって、住民の高齢化も進んでおり、管理組合の運営や意思決定が困難になるケースも増えています。
これらの問題が複合的に絡み合い、マンションの老朽化問題はますます深刻化しています。
2.マンションの老朽化問題が解決しない原因
マンションの老朽化問題が解決しない主な原因は、修繕積立金の不足です。
修繕積立金の不足には、以下の理由が挙げられます。
- 修繕積立金を徴収していなかった
- 修繕積立金の徴収額が十分ではなかった
- 修繕積立金を滞納している住民がいる
- 予想以上に高額な工事費用が発生した
- 長期修繕計画の見直しが適切に行われていない
問題の背景には、管理組合の理事や住民の意識不足も関係しています。
「今は大丈夫」という考えから、将来の修繕に必要な資金を十分に確保できていないのが現状です。
さらに、マンションの老朽化に伴う住民の高齢化も、問題を複雑にしています。
修繕積立金の値上げや一時金の徴収が難しくなり、悪循環に陥るケースも少なくありません。
マンションの老朽化問題を解決するには、長期的な視点に立った計画的な修繕と適切な資金管理が不可欠です。
管理組合と住民が協力し、早い段階から対策を講じることをおすすめします。
3.マンションの老朽化によって生じる問題
マンションの老朽化は単なる建物の経年劣化にとどまらず、住民の生活や資産価値に大きな影響を及ぼす深刻な問題です。
老朽化が進行すると、以下のような問題が発生します。
- マンション設備の老朽化
- 建物の安全の低下
- 修繕積立金の値上げ
- マンションの入居者減少
- マンションの資産価値の低下
詳しく見ていきましょう。
問題1.マンション設備の老朽化
マンションの築年数が古くなると、さまざまな設備に問題が起きやすくなります。
特に懸念されるのが、配管の劣化による水漏れです。
水漏れは、一部の部屋だけでなく階下の住戸にも被害を及ぼし、住民は一時的に退去を余儀なくされることもあります。
また、エレベーターや機械式駐車場などの設備が老朽化すると、安全に関わる重大なトラブルが起こりやすくなります。
マンション設備の故障は、住民の日常生活に直接影響する深刻な問題です。
古くなった設備を放置すると、突発的なトラブルにより大きな損害を受ける可能性があります。
そのため、マンションの設備は定期的なメンテナンスや交換など、適切な管理を行いましょう。
問題2.建物の安全性の低下
マンションの築年数が古くなると、建物の安全性が著しく低下します。
例えば、非常階段の手すりが錆び付き、落下するおそれがあるなど、耐久性が大幅に低下する可能性もあります。
さらに、劣化した外壁タイルやコンクリートが剥がれ落ちて、下にいる人や車の被害につながるリスクも高まります。
マンションの老朽化は見た目の問題だけでなく、住民や通行人の安全を脅かす深刻な問題です。
加えて、特に古い建物は現在の耐震基準を満たしていない場合があり、大地震で倒壊するリスクが高まります。
建物の安全性の低下は目に見えにくいため、定期的な点検と適切な対策が欠かせません。
問題3.修繕積立金の値上げ
老朽化が進んだマンションでは、修繕積立金を当初低めに設定していた等の理由により大幅な値上げが必要になることがあります。
例えば、月々の修繕積立金を、数万円単位で引き上げなければならないケースも珍しくありません。
修繕積立金の値上げは、住民にとって大きな経済的負担となります。
特に年金収入しかない高齢者や、若い世帯にとっては深刻な問題です。
また、修繕積立金の値上げは、管理組合の運営にも影響を与える可能性があります。
住民の間で意見が分かれたり、値上げに反対する声が強まったりすると、必要な修理が先送りになるリスクも高まるでしょう。
こうした負担を避けるためにも、早めの修繕計画と積立金の見直しが重要です。
問題4.マンションの入居者減少
マンションの老朽化により、建物の魅力が低下することで、マンション退去者が増え、一方で新しい入居者も集まりにくくなります。
住民の減少によって管理費や修繕費は一層不足し、マンション全体の管理が行き届かなくなるでしょう。
管理が不十分になると、建物の外観や共用部分の劣化が進み、さらに住民が減るという悪循環に陥ります。
また、マンション周辺の治安の悪化や周辺地域の評判低下につながる可能性もあるのです。
老朽化が原因の入居者減少は、一度始まると止めるのが難しいため、早めの対策が必要になります。
問題5.マンションの資産価値の低下
マンションの老朽化が進むと、建物の資産価値が大幅に低下します。
外観が古びたり設備が時代遅れになったりすることで、購入希望者が減少し、売却時に近隣のマンションの価格相場よりも価格を下げざるを得ない場合があります。
特に、防犯システムや給排水設備などの機能的劣化が進むと、新たな設備を持つ物件との比較で価値が相対的に下がります。
また、修繕積立金が高騰しているマンションも購入希望者から敬遠されがちです。
そのため、マンションの資産価値を保つためには、継続的な修理と適切な管理が欠かせません。
建物の老朽化を防ぎ、マンションの魅力を保つことが、資産価値を守る最も効果的な方法です。
4.マンションの老朽化対策
マンションの老朽化問題に対処するためには、適切な対策を講じることが必要です。
ここでは、主な対策について解説します。
- 大規模修繕をする
- 建て替える
- マンションを解体して敷地を売却する
詳しく見ていきましょう。
対策1.大規模修繕をする
マンションの老朽化対策として最も現実的なのが「大規模修繕」です。
建物の外壁や設備の修繕、耐震補強などを行うことで、建物全体の機能と安全性を回復できます。
長期修繕計画に基づき、12~15年ごとに大規模修繕を実施することが推奨されています。
大規模修繕を定期的に行うことで、マンションの資産価値を保ち、快適な住環境を維持できるでしょう。
ただし、大規模修繕には多額の費用が必要となるため、資金調達が重要な課題です。
修繕積立金だけでは不足する場合も多いため、住民の合意形成のうえで、追加の費用負担が必要になることもあります。
予算が足りない場合は必要な修繕資金の借り入れをする選択肢もある
大規模修繕の費用が不足する場合、借入を検討することも可能です。
主な借入方法には、以下が挙げられます。
- 住宅金融支援機構からの借入
- 民間の金融機関からの借入
住宅金融支援機構の共用部リフォーム融資は、条件を満たせば一定の融資が受けられます。
一方、民間の金融機関は手続きが比較的簡単で、住宅金融支援機構の基準を満たさないマンションへの融資も可能な場合があるのもメリットです。
借入を行う際は、返済計画を慎重に検討し、住民全体で合意形成を図る必要があります。
対策2.建て替える
マンションの老朽化が著しく進行し、修繕で対応できない場合は、建て替えを検討する必要があります。
建て替えにより、最新の設備や耐震性能を備えた居住環境の実現が可能です。
しかし、建て替えには多額の費用がかかり、原則として住民における5分の4以上の同意が必要となります。
また、建て替え期間中の仮住まいの確保や新しいマンションの間取り、費用負担の決定など課題は山積みです。
国土交通省の「マンションの建替え等の実施状況」によると、マンションの建て替え実績は2024年時点で累計297件。
2023年の建て替え実績から、1年でわずか12件しか増えていません。
容積率に余裕があれば分譲床を増やし、その売却利益を建て替え資金に充てることが可能ですが、現実的には合意形成や費用負担なども課題が大きいです。
対策3.マンションを解体して敷地を売却する
マンションの老朽化が進み、維持が困難な場合には、敷地を売却する選択肢もあります。
建物を取り壊し更地にした土地を売却することで、解体費用を賄える可能性も。
しかし、売却には区分所有者、議決権および当該敷地利用権の持分の価格における5分の4以上の同意が必要なため、合意形成が課題となります。
また、立地条件によっては、希望どおりの金額で売却できないリスクもあります。
さらに、住民は新たな住まいを探す必要があり、特に高齢者にとっては大きな負担となるでしょう。
専門家のアドバイスを受けながら、住民全体で十分な議論を重ねたうえで検討してください。
5.マンションの老朽化が深刻化する前に対策をしましょう
マンションの老朽化は、建物の安全性低下や入居者減少など、さまざまな問題を引き起こす原因となります。
老朽化に伴う設備の劣化や修繕費の増加を放置すれば、住民の生活の質やマンション全体の資産価値に大きな影響を与える可能性があります。
そのため、日常的な管理に加えて、大規模修繕などの対策を早めに行いましょう。
早期の行動が将来的な問題の悪化を防ぎ、住民の生活やマンションの価値を守ることにつながります。
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