マンション総会の目的とは?当日までの準備や進行の仕方を解説

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目次

マンション管理組合の役員に就任して、初めてのマンション総会。

「マンション総会ってどのように進めたらいいの?」「何を準備したらいいんだろう?」と、お悩みではありませんか?

初めてのマンション総会の運営は、緊張しますよね。

そこで本記事では、マンション総会の目的や準備、当日の進め方まで、初めての役員さんにもわかりやすく解説します。

総会をスムーズに進行させるコツや、総会参加者全員が納得できる運営方法の参考にしていただくことで、自信を持って総会に臨めるはずです。

1.マンション総会とは?

2.pngマンション総会の目的は、年間の予算案や事業計画、大規模修繕の実施など、マンションの維持管理に関わる重要事項を話し合い決めることです。

管理組合において、最高意思決定機関として機能します。

マンション総会で決定した事項はマンションの価値や居住環境に直接影響するため、区分所有者同士の利害を調整したうえで、団体として意思決定することが求められます。

2.マンション総会の種類

3.pngマンション総会には以下の2種類があり、目的や開催頻度が異なります

  1. 通常総会
  2. 臨時総会

詳しく見ていきましょう。

(1)通常総会

通常総会は、年に1回開催する定例の総会です。

理事長は、原則として通常総会を毎年1回、新会計年度開始後2か月以内に招集しなければなりません。

通常総会では、マンションの管理運営における1年間の活動を報告し、次年度の計画を決議します。

主な議題は、以下のとおりです。

  •     前年度の収支決算と事業報告
  •     次年度の収支予算と事業計画
  •     新しい理事会役員の選出
  •     管理会社との契約更新
  •     管理規約の見直し

通常総会は、区分所有者がマンションの運営状況を把握し、意見を表明できる貴重な機会です。

透明性のある管理と区分所有者の参加を促進する場として、マンションの管理運営サイクルの中心的な役割を果たしています。

(2)臨時総会

臨時総会は通常総会と異なり、必要に応じて開催される総会です。

マンションの管理運営において、緊急の課題や重要な決定事項が生じた場合に招集されます。

主な開催理由は、以下のようなものです。

  •     収支状況の急激な悪化
  •     緊急の修繕や工事の必要性
  •     管理規約の緊急改定
  •     理事会役員の不祥事や辞任

臨時総会は、理事長や監事の呼びかけ、または一定数以上の区分所有者の同意があれば招集できます。

3.マンション総会での決議事項と可決要件

4.png次に、マンション総会での決議事項と可決要件についてです。

マンション総会での決議には「普通決議」と「特別決議」の2種類があり、それぞれ異なる可決要件が設定されています

順番に解説します。

(1)普通決議

マンションの日常的な管理・運営に関する事項は、普通決議にて決定されます。

具体的な決議事項は、以下のとおりです。

  •     収支決算および事業報告
  •     収支予算および事業計画
  •     使用細則の改定
  •     管理費や修繕積立金などの改定
  •     理事・監事の選任または解任

なお、総会の成立には、議決権総数の半数の出席が必要です。

そして可決には、出席する区分所有者の議決権の過半数の賛成が求められます。

例えば、100戸のマンションで1戸1議決権の場合は、以下のとおりです。

項目

要件

総会成立

50戸以上の出席(委任状も含む)

議案可決

出席者の過半数(26戸以上)の賛成

(2)特別決議

特別決議は、マンションの根幹に関わる重要な事項や、区分所有者の利害に大きな影響を与える議題について決議されます。

具体的な議題は、以下のとおりです。

  •     管理規約の改訂
  •     共有部分の変更
  •     管理組合法人の設立、解散
  •     建物の建て替え
  •     建物が大規模消失した際の復旧
  •     義務違反者に対する訴えの提起

特別決議の可決要件は、組合員総数および議決権総数における4分の3以上の賛成が必要です。

ただし、建物の建て替えに関する内容の可決には、組合員総数および議決権総数における5分の4以上の賛成が必要となります。

例えば、100戸のマンションで1戸1議決権の場合は、以下のとおりです。

決議の種類

必要な賛成数

建て替え以外の特別決議

75戸以上

建て替えの場合

80戸以上

特別決議は、区分所有者の利害に大きく関わる重要事項を決議するため、厳しい可決要件が設定されています。

マンション総会での決議事項と可決要件を理解し、それぞれの総会を円滑に進行しましょう。

普通決議と特別決議の違いを把握し、適切な手続きを踏むことで、公平で透明性の高いマンション運営が可能となります。

※決議の要件は、マンションの管理規約の定めにより、上記と異なる場合があります。

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4.マンション総会前日までの準備

5.pngマンション総会を円滑に進めるには、入念な事前準備が欠かせません。

特に、初めて総会を開催する管理組合役員の方は、以下のポイントに注意しながら準備を進めてください

  •     招集通知の発送
  •     委任状・議決権行使書の回収
  •     総会資料の作成

1つずつ、詳しく見ていきましょう。

 (1)招集通知の発送

最も重要なのは、招集通知を適切なタイミングで発送することです。

招集通知には、必ず以下の項目を記載してください。

  •     総会の日時
  •     総会の場所
  •     総会の目的(議案の概要)

例外はありますが、標準管理規約に基づき、マンションの管理規約では原則として総会開催日の2週間前(建て替え決議等は2か月前)までに全組合員へ通知を送ることとなっていることが多いです。

非居住の組合員には郵送する必要があり、余裕をもって発送することがおすすめです。

(2)委任状・議決権行使書の回収

総会に参加できない組合員のために、委任状や議決権行使書の回収も重要な準備事項です。

これらの書類は招集通知と一緒に送付し、期限を設けて回収することで、総会の成立要件を満たすことができます。

(3)総会資料の作成

前年度の決算報告書・新年度の予算案・事業計画案などを分かりやすくまとめ、組合員が事前に内容を確認できるようにしてください。

マンション総会の準備は、招集通知の発送・委任状・議決権行使書の回収・総会資料の作成を、計画的に進めることがポイントです。

これらの準備を怠りなく行うことで、スムーズな総会運営につながります。

5.マンション総会当日の進め方

6.png次に、マンション総会当日の進め方を解説します。

マンション総会をスムーズに進行する流れは、以下のとおりです。

  1. 開会
  2. 議長からの挨拶
  3. 議案の説明
  4. 質疑応答
  5. 採決
  6. 閉会

通常総会を例に、見ていきましょう。

進め方1.開会

マンション総会を開会します。

時間になったら、理事長または司会者が開会を宣言しましょう。

例えば、次のように宣言します。

「ただいまより、○○マンション管理組合第○回通常総会を始めます。司会進行は○○が務めさせていただきます。」

なお、開会前には、出席者数の確認を忘れずに行いましょう。

進め方2.議長からの挨拶

マンション総会の議長を務める理事長は、総会が開会したら挨拶をします

挨拶の例は、以下のとおりです。

「皆様、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。本日の議長を務めます理事長の○○です。まず、出席者数をお伝えします。直接参加○名、委任状○名、議決権行使書○名の合計○名で、規約で定めた人数を満たしています。次に、議事録に署名する方として○○号室の○○さんと○○号室の○○さんにお願いします。」

例文のように、議長からの挨拶にて出席者数の報告と議事録署名人の指名を行います。

挨拶を通じて、総会の公平さと透明性を示してから議案の説明を始めましょう。

進め方3.議案の説明

議案の説明は、基本的に議長が行います。

各議案の内容や必要性、影響などをわかりやすく説明することが大切です。

「それでは、第1号議案『○○年度の活動報告』についてです。(内容の説明)以上が第1号議案です。続いて、第2号議案『○○年度の収支報告』についてです。(内容の説明)
続いて、監査報告をお願いします。(内容の説明)」

上記例文のように、各議案を順番に説明します。

説明する際は難しい言葉を避け、できるだけ簡単・簡潔に説明しましょう。

進め方4.質疑応答

議案の説明を終えたら、質疑応答の時間を設けます。

質疑応答は、区分所有者の疑問や心配を解消する大切な機会です。

以下の例文のように、質疑応答を進めましょう。

「それでは、質疑応答に入ります。本議案について、質問や意見がある方は手を挙げてください。」

質問には、議長や担当の役員が答えます。

なお、予想外の質問があった場合は、後日文面で回答したり、管理会社やマンション管理士に回答してもらったりするのが良いでしょう。

質疑応答で大切なことは、すべての質問に丁寧に答え、疑問を残さないことです。

質疑応答は、総会の透明性と信頼性を高める大切な機会だと考えましょう。

出席者の疑問・不安を解消してから、採決に進みます。

進め方5.採決

質疑応答が終わったら、各議案について決を採りましょう。

採決は通常、挙手による多数決制で行います

例文は、以下のとおりです。

「それでは、第1号議案『○○年度の活動報告』の採決を行います。賛成の方は挙手をお願いします。(挙手した人数を数える)賛成○票、反対○票、棄権○票。賛成多数で、本議案は可決されました。」

上記のように、賛成・反対・棄権の数を確認し、結果を伝えます。

決めた結果をはっきり伝え、全員が結果を理解できるようにしましょう。

進め方6.閉会

全ての議案の話し合いが終わったら、例文のように総会を終了します。

「以上で、議案についての話し合いは全て終了しました。これで、○○マンション管理組合第○回通常総会を終了します。皆様、長い時間ご協力いただき、ありがとうございました。」

総会の締めくくりとして、参加者全員にお礼の言葉を忘れずに伝えましょう

最後に議事録を作成して、話し合った内容を確認できるようにしてください。

6.マンション総会をスムーズに進めましょう

マンション総会は、マンションの管理運営における重要な意思決定の場です。

その円滑な運営には、入念な準備が欠かせません。

初めて総会を運営する場合は準備に慣れていないため、できる限り早めに準備を進めておきましょう

過去の議事録や経験豊富な役員からのアドバイスを参考にすると、より効率的に準備できます。

マンション総会当日は、本記事で紹介した進め方や例文に沿って、円滑な進行を心がけましょう。

事前に練習したシナリオに沿って進行することで、予期せぬ事態にも冷静に対応できます。

初めてのマンション総会運営に不安を感じる方も、本記事を参考に自信を持って取り組んでいただければ幸いです。

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