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日新火災海上保険株式会社

お知らせ

各 位

日新火災海上保険株式会社

業務改善計画の実施状況について

2007年7月13日

日新火災海上保険株式会社は、付随的な保険金の支払い漏れおよび第三分野商品における不適切な不払いに関して、お客さまの信頼を回復するため、業務改善計画に則り具体的な改善策に取り組んでいますが、本日、業務改善計画の実施状況について金融庁に報告書を提出いたしました。その要旨は以下の通りです。
なお、これまで第三分野商品の新規販売を凍結し、今後の対応方針を総合的な視点で検討してまいりました。所得補償保険につきましては、販売体制や改定認可等の各種態勢が整い次第、新規販売を再開していく予定ですが、他の第三分野商品については新規販売の凍結を継続し、今後の販売方針について経営として引き続き検討してまいります。

~業務改善計画の実施状況(要旨)~

I. 経営管理(ガバナンス)態勢の改善・強化

1. 適正な業務運営態勢の整備に経営陣が関与する態勢の構築

(1) 業務執行の監視態勢の強化
1. 内部統制の強化

2007年4月に内部管理本部および内部統制部を新設し、業務執行部門が自ら実施する自主監査の実施状況や結果を管理するとともに、内部監査部による監査で発見された問題点の改善施策の実施状況をフォロー・監督し、改善が確実に実施される体制を構築しました。また、内部管理本部会議を5月および6月に開催し、内部管理本部管下の内部統制部、コンプライアンス業務部、リスク管理部、代理店業務部における情報共有と連携を図っています。

2. 法令遵守態勢の強化

「2007年度営業計画」において、「適正な保険販売と契約の適正化」を最重要課題に設定しました。さらに、営業予算を廃止し、お客さまの信頼を回復するための募集適正化に向けた取り組みを評価する仕組みとしました。

3. 商品開発態勢への関与強化

2006年1月より、重要な商品改廃案件については、商品開発等の内容と合わせ、商品開発等に関する商品部と関連部門間での協議結果内容について経営会議等に付議し、経営陣が適正な業務運営態勢の整備の状況を把握し、必要な指示を行うこととしていましたが、2007年6月までに12案件について計28回の審議を実施してきました。

4. 保険金支払いに関する重要な規程等の改廃手続き

2006年7月に職務権限規程の見直しを行い、不払いに係わる契約者等の保護に重大な影響を与える施策・規程等については取締役会に付議することとしていましたが、2007年6月までの実績は28件となっています。

(2) 内部監査結果の報告態勢の強化

社長が内部監査部を担当することで内部監査部の独立性を高めるとともに、2007年5月より経営会議への報告を、従来の「内部監査の実施状況について2ヶ月に1度」から「監査結果について監査終了の都度」に改め経営陣による監視を強化しました。

(3) 業務改善計画の実施状況の監視態勢の強化

2007年4月、業務改善計画の実施状況を点検する業務管理部会を経営会議の下に位置づけ、経営全体で計画の進捗状況を管理する態勢に改めました。業務管理部会は月例で開催し、内部統制部が進捗状況をきめ細かく監督しています。業務管理部会を通じて把握された改善状況は四半期に一度、経営会議が報告を受けています。

2. 適切に実態を把握し、改善が行われる実効性のある内部監査態勢の構築

(1) 内部監査態勢の強化
1. 体制の強化

2007年4月に内部監査部の要員を増員するとともに、専門性を高め実効性のある内部監査を実施するため、本社管理部門を監査対象とするグループと、営業部門や損害サービス部門を監査対象とするグループを編成しました。

2. 監査手法の抜本的見直しの実施

各部門が執行する業務に内在するリスクに着目した監査手法を取り入れ、2007年6月に「内部監査基本マニュアル」を策定しました。

3. 保険金不払いに対する監査の強化

過去の不備事項や潜在リスクを考慮のうえ、2007年6月に「損害サービス部門監査実施要領」を作成しました。特に、第三分野商品については損害サービス業務部が実施する保険金支払管理態勢の整備内容も監査していきます。

(2) 改善策の実効性の確保

2007年4月に新設した内部統制部が、被監査部門における業務運営改善の実効性を確保するため、2006年度に実施した内部監査に対する改善策の遂行状況を監督しています。

II. 保険金支払管理態勢の改善・強化

1. 公正かつ的確な審査体制・手続きの確立を含めた第三分野商品に係る保険金支払管理態勢の整備

(1) 第三分野商品の保険金支払業務の集中化

第三分野商品の疾病事案について、保険金支払(支払わない場合も含む)判断の適正化・均質化を図るため、2007年4月以降は全店分の保険金支払査定を本社(首都圏損害サービス第1部 医療保険サービスセンター)で集中処理する体制としました。

(2) 第三分野商品の支払不能事案の事前稟議

2007年4月より、第三分野商品の疾病事案で、始期前発病や告知義務違反に該当する事案および約款免責に該当する事案について適切な判断を行うため、これらの事案の決裁を本社で行うこととしました。6月末までに3件の稟議対象案件があり、事後検証において漏れなく稟議手続きが実施されていることを確認しています。

(3) 支払査定時における社外専門家への協力態勢の構築

2007年5月より、第三分野商品において始期前発病や告知義務違反に該当する事案全件および医学的な見解を聴取する必要がある事案については、社外の専門医の意見を聴取する態勢としました。6月末までに11事案について社外専門家への意見聴取を実施しています。

(4) 再審査請求制度の新設

第三分野商品および傷害保険のうち、始期前発病や告知義務違反に該当する事案、医学的な検討が必要な後遺障害等級認定および不払判断を行った事案について、当社の判断に対しお客さまより再審査の請求があった場合に社外専門機関に審査を依頼し再度判断を行う「再審査請求制度」を2007年4月に新設しました。現在までに同制度への申し立てをされた方はいませんが、引き続き同制度が適切にお客さまにご案内がなされているかの検証を行い、実効性を確保していきます。

(5) 支払審査委員会による監視体制の確保

外部の専門家である社外委員3名(医師、弁護士、大学教授)および社内委員3名で構成された「支払審査委員会」を2006年12月に設置し、再審査の結果に対して更に異議が申し立てられた事案等の審査を行っています。同委員会において2007年6月までに27件の審査を実施しました。
なお、支払審査委員会における審査状況については5月にホームページにおいて開示しており、今後も定期的に開示していく予定です。

(6) 損害サービス部門における検証

損害サービス業務管理室では支払済一件書類のサンプル点検を毎月実施しています(2006年度実績は13,651件)が、その体制を2007年4月に15名から18名に増員し、継続的に事後検証を実施しています。第三分野商品の疾病事案については、2006年11月より全件の事後検証を実施しており、2007年6月末までに58件の検証を実施しましたが、全ての事案について適切な対応がなされていることを確認しています。
 また、支払済み一件書類の点検と並行して実施している未完事案の点検については、2006年度に全ての損害サービスセンター(103課所)を対象に実施しました。2007年度についても7月以降、全ての損害サービスセンターを対象に点検を実施する予定です。

2. 適正な業務運営を行うための規定・マニュアル等の必要な見直し・改善

(1) 保険募集に係るマニュアル・帳票等の作成

社員や代理店が、第三分野商品の募集にあたって必要な商品知識(始期前発病免責など)を習得し、特に留意すべき事項(重要事項説明・告知の受領・意向確認など)の理解を深めるため「第三分野商品募集ハンドブック1(適正募集編)」および「第三分野商品募集ハンドブック2(商品・告知・意向確認編)」を作成しました。
合わせて、告知対象を明確化し、契約者が誤解なく告知書に記入できるよう、告知書記載例を掲載した「健康状態告知書ご確認シート」を作成しました。

(2) 保険金支払いにかかわる規程・帳票等の見直し・改善

1. 告知義務違反解除の適正な運営を確立するため、故意・重過失・募集経緯の確認方法およびその判断基準、除斥期間の起算日の認定・管理方法、因果関係の特則およびその確認方法を定めた「告知義務違反に関する対応要領」を策定しました。

2. 介護費用保険における要介護状態の認定は、専門的な知識を要する分野であるため、介護の要否を認定する際に必ず「要介護状態チェックシート」を利用することや、要介護状態の判定が困難な場合には、社外医療機関に意見を求めることをルール化しました。

3. 支払われた保険金の種類をお客さまにご確認いただけるよう、保険金をお支払いした際にお客さまにお送りする「保険金お支払のご案内」に、お支払いした保険金の内訳を表示するように改めました。

4. 保険金支払処理を行う際に、チェックリストを利用して費用保険金等の支払い漏れを点検していますが、2007年3月に「自動車保険の種目またがり」に関する項目をチェックリストに追加するなど、改善を図りました。

(3) 苦情把握方法の見直しと把握漏れの改善

1. 苦情の発生と関連しやすい業務プロセスで使用する帳票(17種類)に苦情点検欄を設け、苦情有無の点検をルール化しました。

2. 苦情事例を明記した「苦情入力ガイドライン」を作成し、関連会社を含む全社員に周知させました。

3. 代理店版「お客さまの声活用マニュアル」を全代理店に備え付け、代理店に寄せられた苦情の当社への報告を徹底しました。これに合わせて、代理店システム上に「お客さまの声 HOTLINE」を開設し、ここに代理店が情報を入力することで当社への報告が行われる仕組みを構築しました。

3. 保険金支払担当者に対する教育の徹底

適切な保険金支払いを確保するため、保険金支払担当者に対する商品内容や約款の解釈等に関する研修や確認テストを継続的に実施しています。
第三分野商品の疾病事故を担当する医療保険サービスセンターの社員全員に対しては、2007年4月に告知義務違反や始期前発病の取扱い等についての研修を実施しました。さらに、「告知義務違反に関する対応要領」等のマニュアルを新たに策定したことを受け、同研修受講者を対象に確認テストを実施しました。

4. 判明した保険金の支払い漏れ・不適切な不払いに対する適切な顧客対応

(1) 付随的な保険金の支払い漏れ

2007年6月29日現在、追加でお支払いをする必要のある事案14,352件(854,193千円)のうち、14,215件(842,857千円)についてお客さまへの対応が完了しています(支払進捗率99%)。未完了となっている137件については、引き続きていねいにお客さまへの対応を実施していきます。
 なお、詳細については別紙 (44KB)をご参照ください。

(2) 第三分野の不適切な不払い

これまでに判明していた不適切な不払い事案については、全てのお客さまへの対応が完了しました。最終的な追加支払件数と金額は以下のとおりです。
・追加で保険金をお支払いした件数(金額):54件(103,543千円)

III. 契約者保護、契約者利便の改善・強化

1. パンフレットをはじめとする募集ツールの改善

作成するパンフレット等がお客さまにとってわかりやすいものとなっているかについては、「商品パンフレット『わかりやすさ』チェックシート」を使ってお客さまサービス部が事前チェックを実施していますが、2006年度は204件、2007年度は5月末時点で76件のチェックを実施しています。
2006年1月に、自動車保険についてお客さまに対してわかりやすい説明を行える独自ツール「ご契約内容確認マップ」を開発しましたが、2007年2月には火災保険の住宅物件を対象にした「ご契約内容確認マップ」を開発し、わかりやすい商品説明を徹底しています。

2. 第三分野商品に係る適切な保険募集や顧客説明を行うための社員及び代理店に係る管理態勢の確立

1. 社員や代理店が、第三分野商品の募集にあたって必要な商品知識(始期前発病免責など)を習得し、特に留意すべき事項(重要事項説明・告知の受領・意向確認など)の理解を深めるため「第三分野商品募集ハンドブック1(適正募集編)」および「第三分野商品募集ハンドブック2(商品・告知・意向確認編)」を作成しました。

2. 2007年4月に「代理店業務監査マニュアル」を全面改定し、6月より改定後の新マニュアルに則って代理店業務監査を実施しています。

3. 苦情を含む商品販売後の事後検証を可能とする実効性のある態勢整備

1. 2006年7月以降に保険金をお支払いしなかった第三分野商品の疾病事案については、全て本社(損害サービス業務部)において事後検証を実施していますが、6月分までの58件に関しては不適切な不払い事案はありませんでした。合わせて保険金をお支払いした事案についてもサンプルを採取して点検を実施していますが、これについても不適切な対応がなされた事案はありませんでした。

2. 役職員が苦情を含むお客さまの声に触れる機会をより多く設けるため、新任管理職(2007年5月)、社長を含む執行役員(同6月)を対象として、テレフォンサービスセンターにおいてお客さまの声を直接お聴きする研修を実施しました。

4. 苦情に関する情報等の透明性の強化

2007年5月に苦情受付状況、苦情内容別件数、不払いに関する苦情をはじめ苦情の実事例、苦情に対する改善施策事例等を当社ホームページ上に開示しました。今後も四半期ごとに内容を更新していきます。

IV. 法令等遵守態勢の改善・強化

1. 法令等遵守態勢の見直し・改善

(1) コンプライアンスマインドの徹底

コンプライアンスに対する意識改革の徹底をはかっていくため、2007年6月に全ての役員および管理職から誓約書を提出させました。

(2) 不祥事件への適切・迅速な対応

不祥事件への適切・迅速な対応および実効性の高い再発防止策を策定・推進するため、2007年4月に不祥事件対応に係るマニュアルを見直すとともにコンプライアンス業務部の体制強化を実施しました。

2. 法令等遵守の企業風土を醸成するための徹底的な研修の実施及びその後の定期的なフォローアップ

業務の一部停止という事態を重く受け止め、2007年5月までに全ての役職員を対象に第三分野商品の適切な販売などを中心としたコンプライアンス研修を緊急に実施しました。

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